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複素平面上の積分

十八世紀の終わり、オイラーとラプラスは、むずかしい実積分を大胆な技で計算していた。実変数を複素変数に置きかえ、計算をしてから実数に戻るのである。ラプラスはこれを「実から虚への移行」とよんだ。結果は合っていたが、この技がいつ正当なのかは誰にも言えなかった。この問いに答えるために、25 歳のコーシーは 1814 年、定積分についての論文をアカデミーに提出した。それが出版されたのは 1827 年で、しかもそれはほんの始まりにすぎなかった。 平面で微分できる関数 複素関数 $f(z)$($z = x + iy$)は、$f = u + iv$ と書ける。ここで $u$ と $v$ は $x$ と $y$ の実関数である。$f$ が複素の意味で導関数をもつには、$u$ と $v$ がコーシー=リーマンの方程式をみたさなければならない。 $$\frac{\partial u}{\partial x} = \frac{\partial v}{\partial y}, \qquad \frac{\partial u}{\partial y} = -\frac{\partial v}{\partial x}.$$この方程式はダランベールとオイラーにすでに現れていた。コーシーはそれを理論の中心にすえ、三十年後にリーマンはそれを出発点にした。$f(z) = z^2 = (x^2 - y^2) + i\,(2xy)$ では、$u_x = 2x = v_y$、$u_y = -2y = -v_x$ である。 積分定理 1825 年、コーシーは『虚数の限界のあいだでとった定積分についての論文』を出版した。平面上の点 $z_0$ から点 $z_1$ まで積分するには、二点を結ぶ道を選ばなければならない。中心となる定理は、道は関係ないというものである。ただし、一方の道を他方に変形するときに掃く領域で、関数が有限かつ連続でありつづけるかぎりにおいてである。別のいい方をすれば、やっかいな点のまわりをまわらない閉じた曲線にそった積分はゼロになる。