どの円も円周と直径の比が同じであることは、アルキメデス以前から知られていた。はっきりしなかったのは、今日 $\pi$ と呼ぶその比の値である。バビロニア人はときに $3\frac{1}{8}$ を使い、エジプト人は $3.16$ に近い値を使っていた。短い論考『円の計測』で、アルキメデスは二つのことをした。円の面積を円周と結びつけ、そして $\pi$ を望むだけの精度で計算する方法を示したのである。

円の面積

最初の命題は、円の面積は、半径 $r$ と円周 $C$ を直角をはさむ二辺とする直角三角形の面積に等しいと述べる。

$$A = \frac{1}{2}\,r\,C.$$

円をピザのようにごく細い扇形に切ると、どの一切れも高さ $r$ のほぼ三角形になる、というのが考え方である。アルキメデスは取りつくし法によって厳密な証明を与え、面積がその三角形より大きくも小さくもありえないことを示した。$C = 2\pi r$ だから、公式はおなじみの $A = \pi r^2$ になる。

二つの多角形にはさむ

$\pi$ を見積もるため、アルキメデスは円に内接する正多角形と外接する正多角形を描いた。内側の多角形の周は円周より短く、外側の多角形の周は円周より長い。直径で割れば、$\pi$ は計算できる二つの数のあいだにはさまれる。

彼は正六角形から始めた。内接正六角形の周は $6r$、つまり直径 $3$ 本分で、外接正六角形の周は $4\sqrt{3}\,r \approx 6.93\,r$ である。それから辺の数を 12、24、48、そして最後に 96 と倍にしていった。各段階で、$n$ 角形と $2n$ 角形のあいだの幾何学的な関係を使った。

最終的な結果は

$$3 + \frac{10}{71} < \pi < 3 + \frac{1}{7}, \qquad \text{すなわち} \qquad 3.1408 < \pi < 3.1429$$

だった。上の限界 $\frac{22}{7}$ はとても有名になり、いまも学校で $\pi$ の近似値として使われている。

計算機なしの計算

もっとも驚くべきなのは算術の部分である。アルキメデスには小数も、分数の便利な書き方もなかったのに、何けたもの平方根が必要だった。最初に彼は

$$\frac{265}{153} < \sqrt{3} < \frac{1351}{780}$$

という、どうやって得たのか説明のないすばらしい近似($1.73203 < \sqrt{3} < 1.73205$)を使っている。四回の倍化を通じて、彼はいつも安全な側に丸めた。内側の多角形では小さく、外側の多角形では大きく丸め、不等式が成り立ちつづけるようにしたのである。

練習:六角形と正方形

半径 $r$ の円に内接する正六角形の周が $6r$、外接する正方形の周が $8r$ であることを示せ。それらは $\pi$ についてどんな限界を与えるか。

内接正六角形は一辺 $r$ の正三角形 6 個に分けられるから、各辺は $r$ で、周は $6r$ である。外接正方形の一辺は直径 $2r$ に等しく、周は $8r$ である。$6r < 2\pi r < 8r$ だから $3 < \pi < 4$ が得られる。これが方法の出発点で、辺の多い多角形ほど区間をせばめていく。

練習:平均はどれほどよいか

アルキメデスの二つの限界 $3\frac{10}{71}$ と $3\frac{1}{7}$ の平均を求め、$\pi \approx 3.14159$ とくらべよ。

$3\frac{10}{71} \approx 3.140845$、$3\frac{1}{7} \approx 3.142857$ で、平均は $\approx 3.141851$ となり、$\pi$ との差はおよそ $0.0003$ である。相対誤差は一万分の一で、古代のどんな建設にも十分だった。

出典: アルキメデス『円の計測』命題 1–3 · Thomas L. Heath、The Works of Archimedes(1897) · Petr Beckmann、A History of π(1971) · Jonathan M. Borwein、「The Life of Pi: From Archimedes to ENIAC and Beyond」(2014)。


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