ミニマックス定理:読まれずに手を打つには
奇数偶数ゲームには良い手がない。いつも指を一本出していれば、相手はそれを覚えて毎回勝つようになる。唯一の防御は予測されないこと、つまりランダムに、半分は一本、半分は二本出すことだ。そうすれば相手が何をしようと、勝負の半分は勝てる。
1928 年、フォン・ノイマンは『室内ゲームの理論について』という論文で、この考えがすべての二人ゼロ和ゲーム、つまり一方が得た分だけもう一方が失うゲームに当てはまることを示した。そして、それがつねに一つの確定した数、ゲームの値に行き着くことも示した。
小さなゲーム
行プレイヤーは A か B を、列プレイヤーは C か D を、同時に選ぶ。表は、行が受け取る(列が支払う)額を示す。
| C | D | |
|---|---|---|
| A | $3$ | $-1$ |
| B | $-2$ | $1$ |
明らかな選択はない。行がいつも A を出せば、列は D で応じ、行は $1$ を失う。行がいつも B を出せば、列は C で応じ、行は $2$ を失う。そこで行がランダムに選ぶとしよう。確率 $p$ で A を、確率 $1 - p$ で B を出す。行の期待利得は
$$\text{C に対して:} 3p - 2(1-p) = 5p - 2, \qquad \text{D に対して:} -p + (1-p) = 1 - 2p.$$列は、行の取り分が小さくなるほうの応じ方を選ぶ。だから行は二つの値の小さいほうしか当てにできず、この最小値ができるだけ大きくなるように $p$ を選びたい。それは二本の直線が交わるところで起こる。
$$5p - 2 = 1 - 2p \;\Longrightarrow\; p = \frac{3}{7}, \qquad \text{保証される利得} = 5 \cdot \frac{3}{7} - 2 = \frac{1}{7}.$$ゲームの値
今度は列の推論である。確率 $q$ で C を出すと、行が A なら列は行に $4q - 1$ を、行が B なら $1 - 3q$ を支払う。列にとって最善なのは二つを等しくすることで、$q = \frac{2}{7}$ のとき、列の支払いは高々 $\frac17$ になる。
二つの数は一致する。行は少なくとも $\frac17$ を保証でき、列は高々 $\frac17$ しか払わないことを保証できる。これがミニマックス定理である。
$$\max_{p}\,\min_{q}\; G(p, q) \;=\; \min_{q}\,\max_{p}\; G(p, q),$$ここで $G$ は行の期待利得である。左辺は行が自力で保証できる最善の結果、右辺は列が自力で保証できる最善の結果だ。フォン・ノイマンは、プレイヤーがランダムに選んでよいなら、どんな有限の表についても両者がつねに等しいことを証明した。
いや、いや、チェスはゲームではない。チェスはきちんと定義された計算の一形式だ。[……] 本物のゲームはまったくそうではない。現実の生活は、はったりや、ちょっとしたごまかしの駆け引きや、相手は自分が何をするつもりだと思うだろうかと自問することでできている。私の理論でのゲームとは、そういうものなのだ。
— ジョン・フォン・ノイマン、ロンドンのタクシーの中での会話。ジェイコブ・ブロノフスキー『人間の進歩』(1973)による
客間から経済学へ
1944 年、フォン・ノイマンとオーストリアの経済学者オスカー・モルゲンシュテルンは『ゲームの理論と経済行動』を出版した。六百ページを超えるこの本は、ミニマックスを市場、競売、交渉へと持ち込み、経済学者が今も使うかたちで期待効用を定義した。六年後、プリンストンのジョン・ナッシュという若者が、この考えをゼロ和でないゲームへと広げる方法を示し、彼の名を冠した均衡を提示した。
練習:奇数偶数ゲーム
奇数偶数ゲームでは、指の合計の偶奇を当てたほうが $1$ を得て、もう一方が $1$ を失う。一本か二本をそれぞれ確率 $\frac12$ で出せば、相手が何をしようと期待利得 $0$ が保証されることを示せ。
私が確率 $\frac12$ で一本を出し、相手が一本を出すと、合計は確率 $\frac12$ ずつで偶数か奇数になる。期待利得は $\frac12 \cdot 1 + \frac12 \cdot (-1) = 0$ である。相手が二本を出しても同じだ。ゲームの値は $0$ であり、どちらのプレイヤーにも有利さはないが、守られているのはランダムに選ぶほうだけである。
練習:列の戦略
$q = \frac{2}{7}$ のとき、行が A でも B でも、列の支払いがちょうど $\frac17$ になることを確かめよ。
A に対して:$3 \cdot \frac27 + (-1) \cdot \frac57 = \frac{6 - 5}{7} = \frac17$。B に対して:$-2 \cdot \frac27 + 1 \cdot \frac57 = \frac{-4 + 5}{7} = \frac17$。列はどちらの場合も同じ額を払うので、行には列の選択につけ込む手立てがない。
出典: John von Neumann, “Zur Theorie der Gesellschaftsspiele”, Mathematische Annalen(1928)· John von Neumann、Oskar Morgenstern, Theory of Games and Economic Behavior(1944)· Jacob Bronowski, The Ascent of Man(1973)。