極限と連続
十八世紀、微積分は強力で、少し謎めいた機械だった。オイラーは発散級数を足し合わせて、そこから正しい結果を引き出した。ラグランジュはすべてをべき級数の上に築こうとした。本は「無限に小さい」量について語り、それは都合のよいときにはゼロで、都合の悪いときにはゼロではなかった。うまくいってはいたが、なぜうまくいくのかを正確に説明できる者はいなかった。
『解析教程』
1821 年、コーシーは『王立エコール・ポリテクニーク解析教程』を出版した。将来の技師たちに彼が行っていた講義である。序文で彼は、解析学に「幾何学で求められる厳密さのすべて」を与えるつもりだと宣言した。すべてはひとつの定義から始まる。
同じ変数につぎつぎと与えられる値が、ある定まった値に限りなく近づき、ついにはそれとの差を望むだけ小さくできるとき、この最後の値を他のすべての値の極限という。
— オーギュスタン=ルイ・コーシー『解析教程』(1821)
ここから、無限小はもはや謎めいた量ではなくなる。極限がゼロである変数にすぎない。たとえば、$n$ が大きくなるとき $\frac{1}{n}$ は無限小である。どんな小さな数を与えても、$\frac{1}{n}$ はいずれそれより小さくなり、二度と戻ってこないからだ。
連続関数
二つめの定義は連続性である。オイラーにとって、連続関数とはただひとつの式で与えられる関数のことだった。コーシーはこれを、関数のふるまいに目を向ける別の考えに置きかえた。
与えられた二つの限界のあいだにある x の各値に対して、差 f(x + α) − f(x) の数値が α の数値とともに限りなく減少するならば、関数 f(x) はその限界のあいだで連続である。
— オーギュスタン=ルイ・コーシー『解析教程』(1821)
今日の言葉でいえば、変数の小さな増加は関数の小さな変化しか生まない。四十年後、ワイエルシュトラスはこれをすべての学生が知っている文字で書いた。任意の $\varepsilon > 0$ に対して $\delta > 0$ が存在し、$|\alpha| < \delta$ ならつねに $|f(x+\alpha) - f(x)| < \varepsilon$ となる。この文字そのものは、すでにコーシーの 1823 年の証明に現れている。
中間値の定理
この定義を手にして、コーシーは誰もが明らかだと思っていた事実を証明した。$f$ が $[a, b]$ で連続で、$f(a)$ と $f(b)$ が異なる符号をもつなら、$a$ と $b$ のあいだに $f$ がゼロになる点がある。チェコのベルナルト・ボルツァーノは 1817 年に証明を発表していたが、ほとんど誰にも読まれなかった。
コーシーの考えは、区間を狭めつづけることである。いちばん簡単な形である二分法では、$[a, b]$ を半分に切り、関数がまだ符号を変えているほうの半分を残す。これをくり返すと入れ子になった区間が得られ、どれも前の区間の半分の長さをもつ。左端は増えるだけの数列を、右端は減るだけの数列をつくり、両者の距離はゼロに向かう。二つは同じ極限 $c$ をもつ。連続性により、$f(c)$ は一方の端での負の値の極限でもあり、他方の端での正の値の極限でもある。$f(c) = 0$ でしかありえない。
ニュートンが自分の方法を示すのに使った方程式 $f(x) = x^3 - 2x - 5$ で見てみよう。$f(2) = -1$、$f(3) = 16$ だから、2 と 3 のあいだに根がある。
| 段階 | 区間 | 中点 $m$ | $f(m)$ |
|---|---|---|---|
| 1 | $[2,\ 3]$ | $2.5$ | $5.625 > 0$ |
| 2 | $[2,\ 2.5]$ | $2.25$ | $1.891 > 0$ |
| 3 | $[2,\ 2.25]$ | $2.125$ | $0.346 > 0$ |
| 4 | $[2,\ 2.125]$ | $2.0625$ | $-0.351 < 0$ |
| 5 | $[2.0625,\ 2.125]$ | $2.09375$ | $-0.009 < 0$ |
五段階ののち、根は $[2.09375,\ 2.125]$ にある。正確な値は $2.0945515\ldots$ である。図で段階を進め、区間が閉じていくのを見てほしい。
演習:何段階必要か
長さ 1 の区間から始めて、誤差 $10^{-6}$ 未満で根を保証するには、二分法を何段階行えばよいか。
$n$ 段階ののち、区間の長さは $2^{-n}$ である。$2^{-n} < 10^{-6}$、つまり $2^n > 1\,000\,000$ としたい。$2^{19} = 524\,288$、$2^{20} = 1\,048\,576$ だから、$n = 20$ 段階で十分である。$\log_{10} 2 \approx 0.301$ なので、一段階ごとに小数 0.3 桁あまりが得られる。
演習:五次方程式
$x^5 - x - 1 = 0$ が 1 と 2 のあいだに根をもつことを示し、二分法を三段階行え。
$f(1) = -1 < 0$、$f(2) = 32 - 2 - 1 = 29 > 0$。$f$ は連続だから、$[1, 2]$ に根がある。段階 1:$f(1.5) \approx 5.09 > 0$ で、根は $[1,\ 1.5]$ にある。段階 2:$f(1.25) \approx 0.80 > 0$ で、$[1,\ 1.25]$ が残る。段階 3:$f(1.125) \approx -0.32 < 0$ で、$[1.125,\ 1.25]$ が残る。根は $1.1673\ldots$ である。アーベルとガロアが示したように、この方程式はべき根では解けないが、二分法なら望むだけの桁数で求められる。
出典: Augustin-Louis Cauchy、Cours d’analyse de l’École royale polytechnique. 1re partie: Analyse algébrique(1821)、第 2 章および注 III · Judith V. Grabiner、The Origins of Cauchy’s Rigorous Calculus(1981) · Robert E. Bradley、C. Edward Sandifer、Cauchy’s Cours d’analyse: An Annotated Translation(2009) · George Berkeley、The Analyst(1734)。