ギリシア人にとって図形を「求積する」とは、同じ面積をもつ正方形か、ほかの直線で囲まれた図形を見つけることだった。円の求積は不可能な問題の代表である。アルキメデスは曲線で囲まれた図形の求積に成功した。放物線の弓形、つまり放物線と一本の弦にはさまれた領域である。

直線と直角円錐の切り口とで囲まれたどの弓形も、その弓形と同じ底辺と同じ高さをもつ三角形の三分の四である。

— アルキメデス『放物線の求積』、ドシテオスへの手紙

「直角円錐の切り口」とは、アルキメデスが放物線につけていた名前である。この本はコノンの死後にドシテオスにささげられた。アルキメデスは最初にこの結果をコノンに見せたのだという。

三角形のなかの三角形

弦を引き、弧の上で接線が弦に平行になる点をとる。三つの点は面積 $T$ の三角形をつくり、弓形の大部分を占める。三角形の辺と曲線のあいだに、小さな領域が二つ残る。それぞれで同じことをする。三つ目の頂点が放物線の上にある新しい三角形を描くのである。さらに小さな領域が四つ残り、以下同様に続く。

アルキメデスが発見したのは、新しい三角形の組は、合わせてもとの三角形の面積の四分の一になるということだった。したがって第一段階で $T$、第二段階で $\frac{T}{4}$、第三段階で $\frac{T}{16}$ が得られ、面積全体は

$$T + \frac{T}{4} + \frac{T}{16} + \frac{T}{64} + \cdots$$

となる。

無限に多くの項を足す

アルキメデスは「無限の和」とは言わず、無限を注意深く避けた。そのかわりに、有限の和についての事実を証明した。項の数がいくつであっても

$$1 + \frac{1}{4} + \frac{1}{16} + \cdots + \frac{1}{4^n} + \frac{1}{3}\cdot\frac{1}{4^n} = \frac{4}{3}.$$

つまり $\frac{4}{3}$ に届くまでに足りない分は、いつも最後の項の三分の一で、それはいくらでも小さくできる。そのうえで二重の背理法により、弓形の面積は $\frac{4}{3}T$ より大きくも小さくもありえないことを示した。これがエウドクソスから受けついだ取りつくし法であり、極限の概念の直接の祖先である。

微積分で確かめる

今日の道具を使えば、計算はすぐにできる。放物線 $y = 1 - x^2$ と、$x$ 軸上の $-1$ から $1$ までの弦について

$$\int_{-1}^{1} (1 - x^2)\,dx = \left[x - \frac{x^3}{3}\right]_{-1}^{1} = \frac{4}{3}.$$

内接三角形は底辺 2、高さ 1 で、面積は $T = 1$ である。比はちょうど $\frac{4}{3}$ で、アルキメデスがニュートンとライプニッツより十九世紀も前に証明したとおりである。

練習:アルキメデスの和

$n = 2$ のときにアルキメデスの等式 $1 + \frac{1}{4} + \frac{1}{16} + \frac{1}{3}\cdot\frac{1}{16} = \frac{4}{3}$ を確かめよ。

分母を 48 にそろえると $\frac{48}{48} + \frac{12}{48} + \frac{3}{48} + \frac{1}{48} = \frac{64}{48} = \frac{4}{3}$。任意の $n$ については帰納法で証明できる。項 $\frac{1}{4^{n+1}}$ を加え、$\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{4^n}$ を $\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{4^{n+1}}$ に置きかえても和は変わらない。$\frac{1}{4^{n+1}} + \frac{1}{3\cdot 4^{n+1}} = \frac{4}{3\cdot 4^{n+1}} = \frac{1}{3\cdot 4^n}$ だからである。

練習:最初の二つの小さな三角形

放物線 $y = 1 - x^2$ で、最初の三角形の頂点は $(-1, 0)$、$(1, 0)$、$(0, 1)$ である。右側の二つめの三角形の頂点は $(0, 1)$、$(1, 0)$ と、放物線上の $x = \frac{1}{2}$ の点である。その面積を求め、第二段階の二つの三角形の和が $\frac{1}{4}$ になることを確かめよ。

三つめの頂点は $\left(\frac{1}{2}, \frac{3}{4}\right)$ である。座標による面積の公式 $\frac{1}{2}\left|x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)\right|$ に $(0,1)$、$(1,0)$、$\left(\frac{1}{2}, \frac{3}{4}\right)$ を代入すると、$\frac{1}{2}\left|0 + 1\cdot\left(\frac{3}{4} - 1\right) + \frac{1}{2}(1 - 0)\right| = \frac{1}{2}\cdot\frac{1}{4} = \frac{1}{8}$。対称性から左側も $\frac{1}{8}$ で、二つ合わせて最初の三角形の $\frac{1}{4}$ になる。

出典: アルキメデス『放物線の求積』命題 14–24 · Thomas L. Heath、The Works of Archimedes(1897) · E. J. Dijksterhuis、Archimedes(1956)、第 X 章 · Carl B. Boyer、The History of the Calculus and Its Conceptual Development(1949)。


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