ITA 2023 – 第1次試験:数学の解説
出典: ITA ――第1次試験の問題 と公式の正答。ファイルは ITA の過去問ページにある。
ITA 2023 の第1次試験は選択式60問で、各科目12問(物理、ポルトガル語、英語、数学、化学) であった。本稿では数学の問題を、試験と同じ37番から48番の番号で扱う。
試験の記法。 $\mathbb{N} = \{1, 2, 3, \dots\}$;$i^2 = -1$;$M_n(\mathbb{R})$ は実数成分の $n \times n$ 行列全体;$\overline{AB}$ は線分、$AB$ は $A$ と $B$ を通る直線;$m(\overline{AB})$ は $\overline{AB}$ の長さ;$A\hat{O}B$ は頂点 $O$ の角;$\det A$ は $A$ の行列式。
正答一覧
| 問題 | 内容 | 正答 |
|---|---|---|
| 37 | 行列式と解がただ1つの方程式 | C |
| 38 | 複素数:$f(z) = z^2 + i$ の反復 | E |
| 39 | 凸多角形と等差数列 | B |
| 40 | 多項式:根の調和平均 | C |
| 41 | 指数関数:不等式 | B |
| 42 | 平面図形:三角形に入る長方形 | D |
| 43 | 複素数:べきの和 | D |
| 44 | 双曲線:焦点とつくる三角形 | A |
| 45 | 確率:硬貨のゲーム | B |
| 46 | 回転体:2つの円錐 | E |
| 47 | 三角方程式 | A |
| 48 | 多項式:次数が3の倍数の項の係数 | C |
問題 37:行列式を含み解がただ1つの方程式
問題文
$A \in M_3(\mathbb{R})$ を、方程式 $\det(\sqrt[3]{2}\,x^2 A) + \det(xA^3) = \det A^2$ を満たす 実数 $x$ がただ1つ存在するような行列とする。このとき $x + \det A$ は
- A) $-5$。
- B) $-4$。
- C) $-3$。
- D) $-2$。
- E) $-1$。
解答
$d = \det A$ とおく。$3 \times 3$ 行列では $\det(kM) = k^3\det M$ である。
1. 書き換える。
$$\det(\sqrt[3]{2}\,x^2 A) = \left(\sqrt[3]{2}\,x^2\right)^3 d = 2x^6 d, \qquad \det(xA^3) = x^3 d^3, \qquad \det A^2 = d^2$$方程式は $2d\,x^6 + d^3 x^3 = d^2$ となる。
2. $d$ は0ではない。 $d = 0$ なら方程式は $0 = 0$ となり、すべての $x$ が解になって 一意性に反する。$d \ne 0$ なので $d$ で割ると
$$2x^6 + d^2 x^3 - d = 0$$3. 解がただ1つ。 $t = x^3$ とおく(実数 $t$ 1つに実数 $x$ がちょうど1つ対応する)と $2t^2 + d^2 t - d = 0$。$x$ がただ1つであるためには、この2次方程式の実数解がただ1つ、 すなわち判別式が0でなければならない。
$$\Delta = d^4 + 8d = d(d^3 + 8) = 0 \quad\Rightarrow\quad d = -2$$4. $x$ の値。 $d = -2$ のとき $2t^2 + 4t + 2 = 0 \Rightarrow (t + 1)^2 = 0 \Rightarrow t = -1$、よって $x = -1$。
$$x + \det A = -1 + (-2) = -3$$答え: C($-3$)。
問題 38:f を2023回適用する
問題文
$z \in \mathbb{C}$、$f(z) = z^2 + i$ とする。各 $n \in \mathbb{N}$ に対して $f^{(1)}(z) = f(z)$、 $f^{(n)}(z) = f(f^{(n-1)}(z))$ と定める。このとき $f^{(2023)}(0)$ は
- A) $1 - i$。
- B) $i - 1$。
- C) $-1 - i$。
- D) $i$。
- E) $-i$。
解答
$0$ から始めて最初のいくつかを計算する。
- $f^{(1)}(0) = 0^2 + i = i$
- $f^{(2)}(0) = i^2 + i = -1 + i$
- $f^{(3)}(0) = (-1 + i)^2 + i = (1 - 2i - 1) + i = -i$
- $f^{(4)}(0) = (-i)^2 + i = -1 + i$
- $f^{(5)}(0) = -i$
$n = 2$ 以降、値は交互に現れる:$n$ が偶数なら $-1 + i$、奇数なら $-i$。2023 は奇数なので
$$f^{(2023)}(0) = -i$$答え: E($-i$)。
問題 39:内角が等差数列をなす凸多角形
問題文
次の命題を考える。
- I. $P$ が $n$ 本の辺がすべて等しい凸多角形ならば、$P$ は正多角形である。
- II. $P$ を凸六角形とする。内角を小さい順に並べると等差数列になるならば、$P$ の最小の内角と最大の内角の和は $240^\circ$ である。
- III. 内角を小さい順に並べると公差 $r = 1^\circ$ の等差数列になる凸100角形が存在する。
つねに正しいものは:
- A) I のみ。
- B) II のみ。
- C) III のみ。
- D) II と III のみ。
- E) どれも正しくない。
解答
I. 誤り。 正方形でないひし形は4辺が等しいが、角は等しくない。
II. 正しい。 六角形の内角の和は $(6 - 2)\cdot 180^\circ = 720^\circ$。6項の等差数列の和は $\frac{(a_1 + a_6)\cdot 6}{2} = 3(a_1 + a_6)$。よって $a_1 + a_6 = 240^\circ$。
III. 誤り。 内角の和は $98 \cdot 180^\circ = 17640^\circ$。公差 $1^\circ$ では
$$100a_1 + \frac{99 \cdot 100}{2} = 17640 \quad\Rightarrow\quad a_1 = 126.9^\circ$$最大の角は $a_{100} = 126.9^\circ + 99^\circ = 225.9^\circ > 180^\circ$ となる。凸多角形の内角は $180^\circ$ を超えない。
答え: B(II のみ)。
復習は等差数列を参照。
問題 40:根の調和平均
問題文
$n$ 個の正の実数 $a_1, a_2, \dots, a_n$ の調和平均は
$$H = \frac{n}{\frac{1}{a_1} + \frac{1}{a_2} + \dots + \frac{1}{a_n}}$$である。多項式 $p(x) = 30x^3 - 113x^2 + 108x - 30$ が3つの正の実数解をもつとき、$p(x)$ の 根の調和平均は
- A) $\frac{2}{3}$。
- B) $\frac{5}{18}$。
- C) $\frac{5}{6}$。
- D) $1$。
- E) $3$。
解答
根を $r_1, r_2, r_3$ とする。解と係数の関係より
$$r_1 r_2 + r_1 r_3 + r_2 r_3 = \frac{108}{30}, \qquad r_1 r_2 r_3 = \frac{30}{30} = 1$$逆数の和は
$$\frac{1}{r_1} + \frac{1}{r_2} + \frac{1}{r_3} = \frac{r_2 r_3 + r_1 r_3 + r_1 r_2}{r_1 r_2 r_3} = \frac{108}{30} = \frac{18}{5}$$よって
$$H = \frac{3}{18/5} = \frac{15}{18} = \frac{5}{6}$$答え: C($\frac{5}{6}$)。
問題 41:9ˣ、3ˣ、2ˣ を比べる
問題文
実関数 $f$、$g$ を $f(x) = 3^{2x}$、$g(x) = 3^x - 2^x$ で定める。次の命題を考える。
- I. すべての $x \in \mathbb{R}$ で $g(x) \ge 0$。
- II. すべての $x \in \mathbb{R}$ で $f(x) \ge g(x)$。
- III. すべての $x \in \mathbb{R}$ で $f(x) + g(x) \ge 0$。
つねに正しいものは:
- A) I のみ。
- B) II のみ。
- C) III のみ。
- D) すべて。
- E) どれも正しくない。
解答
$f(x) = 9^x$ に注意する。$x > 0$ では底が大きいほどべきも大きく($9^x > 3^x > 2^x$)、 $x < 0$ では逆になる($2^x > 3^x > 9^x$)。
I. 誤り。 $x = -1$ のとき $g(-1) = \frac{1}{3} - \frac{1}{2} = -\frac{1}{6} < 0$。
II. 正しい。
- $x \ge 0$ なら $9^x \ge 3^x > 3^x - 2^x$。
- $x < 0$ なら $g(x) = 3^x - 2^x < 0 < 9^x$。
III. 誤り。 $x = -1$ のとき $\frac{1}{9} + \frac{1}{3} - \frac{1}{2} = \frac{2 + 6 - 9}{18} = -\frac{1}{18} < 0$。
答え: B(II のみ)。
問題 42:線分 EF の最小値
問題文
$ABC$ を $B\hat{A}C = 30^\circ$ の直角三角形とする。斜辺 $\overline{AC}$ 上に点 $D$ をとり、 $D$ を通ってそれぞれ辺 $\overline{AB}$、$\overline{BC}$ に平行な直線 $r$、$s$ を引く。 $E = r \cap \overline{BC}$、$F = s \cap \overline{AB}$、$m(\overline{BC}) = 1$ のとき、 $m(\overline{EF})$ のとりうる最小値は
- A) $\frac{\sqrt{2}}{5}$。
- B) $\frac{\sqrt{2}}{2}$。
- C) $\frac{\sqrt{3}}{3}$。
- D) $\frac{\sqrt{3}}{2}$。
- E) $\sqrt{3}$。
解答
1. 三角形。 斜辺が $\overline{AC}$ なので、直角は $B$ にある。$\hat{A} = 30^\circ$ と $m(\overline{BC}) = 1$($30^\circ$ の対辺)より $m(\overline{AC}) = 2$、$m(\overline{AB}) = \sqrt{3}$。
2. 長方形。 $DE \parallel AB$、$DF \parallel BC$、$AB \perp BC$ なので $BEDF$ は長方形で、 対角線は等しい:
$$m(\overline{EF}) = m(\overline{BD})$$3. 最小化。 $D$ は斜辺上を動く。$B$ から $\overline{AC}$ 上の点までの最短距離は斜辺への高さである:
$$m(\overline{BD})_{\min} = \frac{m(\overline{AB})\cdot m(\overline{BC})}{m(\overline{AC})} = \frac{\sqrt{3}\cdot 1}{2} = \frac{\sqrt{3}}{2}$$この垂線の足は $A$ と $C$ の間にある($A$、$C$ の角は鋭角)ので、条件を満たす点である。
答え: D($\frac{\sqrt{3}}{2}$)。
問題 43:|z²ⁿ⁺¹ + z̄²ⁿ⁺¹| の和
問題文
$z = 5 - 5i \in \mathbb{C}$ に対し、各 $n \in \mathbb{N}$ について $f(n) = \left|z^{(2n+1)} + \bar{z}^{(2n+1)}\right|$ と定める。$n = 1$ から $20$ までの $f(n)$ の和は
- A) $250(50^{21} - 1)/49$。
- B) $500\sqrt{2}(50^{20} - 1)/49$。
- C) $1000(50^{21} - 1)/49$。
- D) $500(50^{20} - 1)/49$。
- E) 上のどれでもない。
解答
1. 極形式。 $|z| = \sqrt{25 + 25} = 5\sqrt{2}$、偏角は $-\frac{\pi}{4}$: $z = 5\sqrt{2}\,\operatorname{cis}\left(-\frac{\pi}{4}\right)$。
2. 共役との和。 任意の $w$ について $w + \bar{w} = 2\operatorname{Re}(w)$。$k = 2n + 1$ とすると
$$z^k + \bar{z}^k = 2\,(5\sqrt{2})^k\cos\left(\frac{k\pi}{4}\right)$$$k$ が奇数なら $\left|\cos\frac{k\pi}{4}\right| = \frac{\sqrt{2}}{2}$。よって
$$f(n) = 2\,(5\sqrt{2})^{2n+1}\cdot\frac{\sqrt{2}}{2} = (5\sqrt{2})^{2n}\cdot 5\sqrt{2}\cdot\sqrt{2} = 10\cdot 50^n$$$n = 1$ で確認: $z^3 = 125(1 - i)^3 = 125(-2 - 2i)$ なので $z^3 + \bar{z}^3 = -500$、 $f(1) = 500 = 10 \cdot 50$ ✔
3. 等比数列の和。 $f(n)$ は初項500、公比50の等比数列である:
$$\sum_{n=1}^{20} 10\cdot 50^n = 500\cdot\frac{50^{20} - 1}{50 - 1} = \frac{500\,(50^{20} - 1)}{49}$$答え: D。
問題 44:双曲線上の点と焦点がつくる三角形
問題文
双曲線 $H$:$x^2 - \dfrac{y^2}{4} = 1$ を考える。$F_1$、$F_2$ を $H$ の焦点、$P$ を $H$ 上の点とし、 $T$ を頂点 $P$、$F_1$、$F_2$ の三角形とする。$T$ の周の長さが $5\sqrt{5}$ のとき、$T$ の3辺の長さの 積は
- A) $\frac{41\sqrt{5}}{2}$。
- B) $\frac{41}{4}$。
- C) $\frac{41\sqrt{5}}{4}$。
- D) $\frac{41}{8}$。
- E) $\frac{41\sqrt{5}}{8}$。
解答
1. 双曲線の要素。 $a = 1$、$b = 2$、$c = \sqrt{a^2 + b^2} = \sqrt{5}$。よって $m(\overline{F_1F_2}) = 2\sqrt{5}$。
2. 残りの2辺。 $u = m(\overline{PF_1})$、$v = m(\overline{PF_2})$ とする。
- 双曲線の定義:$|u - v| = 2a = 2$。
- 周の長さ:$u + v = 5\sqrt{5} - 2\sqrt{5} = 3\sqrt{5}$。
3. 積 $uv$。 $u$、$v$ を求めずに
$$uv = \frac{(u + v)^2 - (u - v)^2}{4} = \frac{45 - 4}{4} = \frac{41}{4}$$4. 3辺の積。
$$\frac{41}{4}\cdot 2\sqrt{5} = \frac{41\sqrt{5}}{2}$$答え: A($\frac{41\sqrt{5}}{2}$)。
問題 45:硬貨のゲームはどれだけ続くか
問題文
硬貨の組を繰り返し投げる。各回で裏が出た硬貨だけをすべて取り除き、残りは次の回に残す。 すべての硬貨が取り除かれたらゲームは終わる。硬貨4枚で始めたとき、ゲームが3回より長く 続く確率は
- A) $1341/4096$。
- B) $1695/4096$。
- C) $2049/4096$。
- D) $2401/4096$。
- E) $2755/4096$。
解答
1. 1枚ずつ考える。 各硬貨は表が出る限りゲームに残る。3回後にまだ残っているのは3回 続けて表が出たときで、確率は $\left(\frac{1}{2}\right)^3 = \frac{1}{8}$。よって3回以内に取り除かれる 確率は $\frac{7}{8}$。
2. 余事象。 ゲームが3回以内に終わるのは、4枚の硬貨がすべて3回以内に取り除かれる ときである。硬貨は互いに独立なので
$$P(\text{3回以内に終わる}) = \left(\frac{7}{8}\right)^4 = \frac{2401}{4096}$$3. 結果。
$$P(\text{3回より長く続く}) = 1 - \frac{2401}{4096} = \frac{1695}{4096}$$答え: B($1695/4096$)。
ひっかけに注意: $2401/4096$(選択肢 D)は余事象の確率である。
復習は確率入門を参照。
問題 46:斜辺のまわりに三角形を回す
問題文
直角三角形の斜辺の長さは 10 cm である。この三角形を斜辺を含む軸のまわりに回転させて できる立体の体積は $30\pi$ cm³ である。この三角形の周の長さ(cm)は
- A) $10 + 4\sqrt{7}$。
- B) $10 + 5\sqrt{7}$。
- C) $10 + 2\sqrt{10}$。
- D) $10 + 3\sqrt{10}$。
- E) $10 + 4\sqrt{10}$。
解答
1. 立体。 斜辺のまわりに回すと、三角形は底面を共有する2つの円錐をつくる。共通の 半径は斜辺への高さ $h$ で、2つの円錐の高さの和は 10 である:
$$V = \frac{1}{3}\pi h^2 d_1 + \frac{1}{3}\pi h^2 d_2 = \frac{1}{3}\pi h^2\cdot 10 = 30\pi \quad\Rightarrow\quad h = 3$$2. 2本の脚。 直角をはさむ辺を $b$、$c$ とする。面積から $bc = 10 \cdot h = 30$、 三平方の定理から $b^2 + c^2 = 100$。よって
$$(b + c)^2 = 100 + 60 = 160 \quad\Rightarrow\quad b + c = 4\sqrt{10}$$3. 周の長さ。 $10 + 4\sqrt{10}$ cm。
三角形が存在することの確認: $b$、$c$ は $t^2 - 4\sqrt{10}\,t + 30 = 0$ の解で、判別式は $160 - 120 = 40 > 0$ ✔
答え: E($10 + 4\sqrt{10}$)。
問題 47:2つの最大値を同時に要求する方程式
問題文
実関数
$$f(x) = \cos(x)\cdot\left[\cos\left(\frac{x}{3}\right) + 2\sin(x)\right] - \sin(x)\cdot\sin\left(\frac{x}{3}\right) - 2$$を区間 $I = ]-4\pi, 4\pi[$ で考える。方程式 $f(x) = 0$ について、次のことがいえる。
- A) $I$ に解をもたない。
- B) $I$ にただ1つの解をもつ。
- C) $I$ にちょうど2つの解をもつ。
- D) $I$ にちょうど3つの解をもつ。
- E) $I$ にちょうど4つの解をもつ。
解答
1. 簡単にする。 展開してまとめると
$$f(x) = \underbrace{\cos x\cos\tfrac{x}{3} - \sin x\sin\tfrac{x}{3}}_{\cos\left(x + \frac{x}{3}\right)} + \underbrace{2\sin x\cos x}_{\sin 2x} - 2 = \cos\frac{4x}{3} + \sin 2x - 2$$2. 最大値でしか起こらない。 余弦も正弦も1以下なので、$f(x) = 0$ には次の2つが同時に必要である。
$$\cos\frac{4x}{3} = 1 \quad\text{かつ}\quad \sin 2x = 1$$3. 両立しない。
- $\cos\frac{4x}{3} = 1 \Rightarrow \frac{4x}{3} = 2k\pi \Rightarrow x = \frac{3k\pi}{2}$、$k \in \mathbb{Z}$。
- $\sin 2x = 1 \Rightarrow 2x = \frac{\pi}{2} + 2m\pi \Rightarrow x = \frac{\pi}{4} + m\pi$、$m \in \mathbb{Z}$。
等しいとおくと $\frac{3k}{2} = \frac{1}{4} + m \Rightarrow 6k = 1 + 4m$。左辺は偶数、右辺は奇数で、 ありえない。解はどこにもなく、もちろん $I$ にもない。
答え: A(解をもたない)。
復習は加法定理を参照。
問題 48:次数が3の倍数の項をふるい分ける
問題文
$\left[1 + x^2 - x^3 + x^4\right]^{10}$ の展開で、次数が3の倍数である項の係数の和は
- A) 114。
- B) 228。
- C) 342。
- D) 456。
- E) 570。
解答
$P(x) = (1 + x^2 - x^3 + x^4)^{10} = \sum c_k x^k$ とおく。求めるのは $S = c_0 + c_3 + c_6 + \dots$
1. 1の3乗根によるふるい。 $\omega = \operatorname{cis}\frac{2\pi}{3}$ とすると $\omega^3 = 1$、 $1 + \omega + \omega^2 = 0$。このとき $1 + \omega^k + \omega^{2k}$ は $k$ が3の倍数なら3、そうでなければ0。よって
$$S = \frac{P(1) + P(\omega) + P(\omega^2)}{3}$$2. 計算。
- $P(1) = (1 + 1 - 1 + 1)^{10} = 2^{10} = 1024$。
- $P(\omega) = (1 + \omega^2 - 1 + \omega)^{10} = (\omega + \omega^2)^{10} = (-1)^{10} = 1$($\omega^3 = 1$、$\omega^4 = \omega$ より)。
- 同様に $P(\omega^2) = 1$。
(ここでは $x^0$ も次数が3の倍数の項として数える。これを除くと和は341で、選択肢にない。)
答え: C(342)。